江之浦 リトリート凛門 石テーブル設置プロジェクト

こんにちは。神奈川県西部、小田原市で石材店をしています石政石材、露木です。昨年よりすすめてきました小田原市江之浦にありますホテル、リトリート凛門さんへの石テーブル設置の様子をご紹介いたします。

凛門さんのある江之浦地区は周辺に江戸城の石積みなどに使われた石の産地があります。地元「根府川石」やすぐお隣の真鶴町の「本小松石」などは全国的にも有名です。その中間地にあります凛門の瀬戸社長と、それらの丁場(採石場)が年々跡継ぎ問題や諸事情により規模が縮小してきている現状をお話する機会がありその中で今回の石テーブル設置のお話となりました。

瀬戸社長とデザイナーの田所さんを本小松石の丁場や石割り作業場などに案内し、石の特徴、キズが多く大きな石を確保する大変さや石目の違い、本小松石独特の色の違いなどご説明している中、亀川石材さんの作業場にあるひとつの原石の切れ端に注目されました。

それがこの石。画像でもわかるとおり切り出した後のキズのある切れ端。通常はこのようなキズをかわしてかわして大変な思いをしてお墓の材料を用意します。製品としては使い道がなく廃棄(正確には砂利等になります)されるこの石が、力強い原石の中で何とも優しく美しく見えたのだそうです。この出会いが廃棄される石に新たな命を吹き込むプロジェクトのはじまりとなり、また小田原に、地元に、西湘エリアにこんなにも素晴らしい資源があることを知っていただくためにも多くの方々に一緒に参加していただけるクラウドファンディングにも挑戦することとなりました。

製作は単純なテーブルではなく、自然なかたちの石板に限界まで支柱を細くし凛門の空間に調和する唯一無二のテーブルに仕上げます。

台座は南足柄市の森住鉄工さんにて、プラダンに描いた実物の石のかたちに合わせて制作していただきました。寸分のくるいもなく流石です。

こちらも切削後の歪んだ状態から磨きながら微妙な調整で均一になるよう研磨していきます。小面は自然の茶褐色の石肌に天端は艶手前の水磨き仕上げ。自然の本小松石の力強さに優しい表情が加わり、この石の良さが際立つ意匠となります。こちらも寸分のくるいもなく仕上がりました。

デザイナーの田所さんのもうひとつのこだわり、鉄製のアングルの象嵌。こちらを3か所、石板に埋め設置。接着する予定でしたが取り外せるよう深さのみを調整。

ホテル内ではクレーンなどが使えないため、正確な重量を把握して搬入にいどみます。

凛門さんへの搬入当日。ガラス張りの眺望の良いこちらのラウンジへ石テーブルを設置します。

細心の注意をはらいクレーン車からおろし、二輪車で搬入。設置場所前に仮置きし、台座に隙間なく石専用の接着剤を塗布して慎重に据付けます。

ふたつのテーブルの間に本小松石の石柱を置き完成。

両端のわざと残した、石を割るときの矢の跡が石屋の私達には想像もつかない斬新なデザイン。

石テーブルに合わせるイスも田所さんがデザインしスリランカの家具職人さんに制作を依頼。肘掛けの高さが左右で異なり、自然とふたりの距離が近くなります。

間接照明も相まってすごくカッコイイ!!

瀬戸社長、デザイナーの田所さんをはじめ、クラウドファンディングにご参加いただいた多くの方々、森住鉄工さん、スリランカの家具職人さん、私たち石職人の力が凛門にて合わさりました

江之浦リトリート凛門のコンセプトは「新しく生まれ変わる門出の場所」だそうです。

小田原市江之浦にあるこの素敵な空間を、地元の貴重な資源である本小松石のテーブルを、是非見て触れて感じてください。

ありがとうございます。

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